ウーバーと情報視覚化

Wikimediaより

 

先日、ウーバーとグーグルが自動運転技術の盗用問題で和解したというニュースがあった。

「グーグルとウーバーの和解が成立、自動運転技術の盗用問題」

Uberと言えばビジネスの面でなにかと話題になることが多いが、テクノロジーの側面から見れば、いわゆるビッグデータ処理の面で高度な技術を持っているだろうというのは、直感的にも明らかだ。

 

少し個別の話をすると、UberにはUber Engineeringという部門があって、その中に、15人程度の、ビジュアライゼーションというチームがあるとのこと(リンク先は2年近く前のブログなので、今は事情が違うかも知れない)。

Uber Enginieeringの Visualization team

https://eng.uber.com/data-viz-intel/

Uberが車の動きから得ている大量のデータを分析しているわけだが、ビジュアライゼーション、日本語では「情報視覚化」と訳される手法を使っているチームだ。要するに、大量のデータをインタラクティブでわかりやすい形に視覚化することで、情報がもつ傾向を直感的に理解したり、気づかなかったものを見つけたりしやすくことである。単に数字を棒グラフにするだけでも見えてくるものはあるわけで、まして手に負えない量のデータをどう視覚化するか、というのはまさに企業なら意思決定そのものに大きく影響する可能性がある。

UberでこのVisualizationのチームを率いているのはNicholas Belmonteと言い、たとえば、さまざまなデータを視覚化するツールキットJIT (JavaScript InfoVis Toolkit)をオープンソースで提供したりしている。

 

下記のページには、Uberのデータを視覚化した、さまざまな事例が出ていて非常に面白い。
https://eng.uber.com/data-viz-intel/
これを読んでいると、このチームは上記のようなオープンソースプログラムを提供しているだけでなく、それをカスタマイズしてさまざまな顧客(たとえば市の運営チーム)に提供しているそうだ。これは顧客企業にとっては大きな価値になるだろう。

 

Amazonがオンライン書店からクラウド企業になり、まあそれをビッグデータカンパニーと呼ぼうがなんと呼ぼうがかまわないのだが、要するに保有する大量のデータ自体と、それに対するすさまじく高度な分析力がコアになっているのは間違いない。Uberが、もちろん企業としての源から言って、フィールドはカーシェアリングや自動運転が中核になるだろうが、同じようなデータおよびコア技術で戦うことを目指しているのは間違いのないところで、冒頭のように、GoogleだのAmazonだの、あるいは今後さらに大きく拡大するさまざまの中国企業と言ったところと正面からぶつかる話は増えるだろう。

T. Kamba (神場知成)

人間・機械融合系コミュニケーションシステムのデザインに興味を持つ。コンピュータ・サイエンス分野で、メーカー系研究所の研究員を経て、現在は東洋大学 情報連携学部 教授。専門はユーザ・エクスペリエンス・デザインなど。 趣味は音楽全般。特に自分でも演奏するピアノを中心にジャズ、クラシック。ジャズはミシェル・ペトルチアーニ、ビル・エヴァンス等。クラシックはバッハ、フィリップ・グラス、ブラームス、グレン・グールドなど。

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